漢字が苦手なコースケは、小5で学級にカミングアウトをしました。
その時は、案外あっさりとカミングアウトをしたコースケですが、中学入学後は、頑なに学級でのカミングアウトを拒んでいます。
理由を聞いてみるとなかなか本質をついているなと思いました。
先日Xでカミングアウトの件が少し話題になっていたので、コースケの経験から、親として個人的に思うことを書いてみようと思います。
最近はずっとXで気軽に投稿していたのですが、140文字で収まらないから久しぶりにブログに書くか、、、と思った久しぶりの更新はなんと5年ぶりでしたー💦
カミングアウトが必要かどうかはケースバイケース
カミングアウト問題かぁ。
経験から言うと、担任がLDその他をどう捉えているかが一番重要な気がする。
それによって周囲の説明が変わるから。長男の担任は「彼は文字を鉛筆で書くのが苦手だから違うやり方や、違う道具を使うことがある。でもそれは特別じゃなくて、みんな得意も不得意もあって→ https://t.co/x64dTf950L
— あさこ@LD息子はケセラセラ (@asaco0228) March 12, 2022
以前も少しつぶやいていますが、結論から言ってしまうと、私は「合理的配慮にカミングアウトは必要か?」という問いに対して、
答えは「ケースバイケース」で
キーになるのは担任の先生とクラスの環境だと思っています。
カミングアウトが必要な環境とは?
私は、ひとまず周囲にカミングアウトせずに配慮を始めてみて、周囲が特に何も言わない環境ならカミングアウトする必要は無いし、逆に周囲が「なんで?」「ずるい」と声が上がる環境ならカミングアウトは必要、という考えです。
大前提に、なにも配慮を始めてもなく、誰からもずるいと言われてないのに「ずるいと言われるかもしれませんよ?」という脅しのような使い方でカミングアウトを迫ったり配慮を拒んだりするのは論外です。
コースケの時の経験から、カミングアウト後に学級が「ずるい」という声が上がるかどうかは担任の力量次第と思いましたし、カミングアウト以前に「ずるい」という言葉が出るなら、少なからず担任本人が「ずるい」と思っているのでは?と個人的には思います。
実際にコースケも、漢字の宿題のやり方が彼だけ違うことに気づいたクラスメイトから「ずるい!」と声が上がったことをきっかけに、担任からカミングアウトの相談がありました。
「『ずるい』なんて言わせません」と言い切った小5小6の担任
小5、小6を担任してくれたS先生からのカミングアウトの相談は
いやー、今回あらためて文字に起こしてみて本当にS先生の名言でした。。
電話で話したのですが私はこの時泣きました。
この言葉を聞いて私はS先生に全幅の信頼を寄せ、当時コースケは5年生だったので、カミングアウトするかどうかは本人とS先生に委ねました。
コースケにあとから聞いた話ではこの時の担任は
と言ってくれたそうで、それをきっかけに学級にカミングアウト。
そして実際に卒業まで書字のことで同級生からなにか言われることはありませんでした。
(むしろ、寄せ書きには同級生から「いつも苦手なことに向き合っててすごいと思う!」というコメント多数…)
この「配慮は特別でもずるくもない」という思考と姿勢のある担任なら、カミングアウトは前向きでもいいと思います。
教科担任制の中学では
小学校終盤をそのように過ごしたコースケですが、先述のように中学でのカミングアウトは頑なに拒んでいます。
その理由は
まぁ、、中学は担任と過ごす時間が少ないので信頼関係を築くのはなかなか難しいですね。
ただ、コースケのこのコメントが当事者の本意だなと思いました。
親が近くにいない状態で、子供一人が抱える事情としては結構重たい配慮の話…。その中で『絶対に守る』と言い切り行動も伴っていたS先生へのコースケの信頼は相当厚かったようで、その安心を得られない中学では絶対にカミングアウトはしない、ということでした。
では、カミングアウトしていない中学での配慮はどうなったのかというと・・・
周囲にも同じこと(板書の撮影、タブレットでのノートテイク等)を解禁する、という方向でコースケが特別ではなくなるように配慮をしてもらえました。(※試験の配慮以外)
これはこれで、年齢に合わせた配慮としても理想的だと、私はありがたく思っています。
カミングアウトは、絶対に「ただの晒し者」になってはいけない
カミングアウトは、必ずしも必要とは思いませんが、学校がそれを求めた時に応じないとなると、こちらが希望する100%の配慮を実現してもらうのは難しいのでは、というのが私の考えです。
ただし、子供がただの晒し者にはなるのは絶対にあってはならないことなので、まずは環境と担任の配慮に対する意識、カミングアウト後に子供が安心して通学し続けられる環境の保証があるかどうかを確認して、カミングアウトをするかどうかを検討するのも良いかと思います。
そしてカミングアウトすべきでは無いという判断、または本人が絶対にカミングアウトしないという意思が堅い時には、学校と保護者で対話を続け、カミングアウトしない状態で受けられる配慮が何かを再検討する必要があるかも。
ちなみに、コースケは今年高校受験なのですが、志望校の相談会で合理的配慮について「本人の希望と、学校が提供できることをそれぞれ出し合い、話し合って、着地点を一緒に考える」と言われました。これが本来のやり方だろうと私も思っています。
周囲の子供たちはどう思っているのか?
小5の時に意を決してカミングアウトをしたコースケですが、その後5年経った今周囲の子供たちはどう思っているのかというと、、、
コースケが書字障害であることを忘れています。笑
最近、小5当時の同級生数人、別々に
「コースケが字を書けないの、知ってるよね?」と聞く機会があったのですが、
それぞれ「あ、なんかそんなこと言ってましたね」と言われました。
子供たちにとって、コースケが書字障害なことも、タブレットでノートをのっていたことも、きっと日常の風景の一つだったのでしょう。
大人が思うよりも、子供の意識は案外そんなもんで、でもそれってやはりS先生がそうしてくれたような気もしてます。
よく出てくる眼鏡の話
余談ですが、合理的配慮の話の時に、よく「眼鏡」の話に例えられますがそれが適切かどうかは置いておいて、眼鏡の話は
「眼鏡をかけるのにカミングアウトも許可も必要ないのになぜLD児のタブレットに許可が必要なのか?」
という話になりがちですね。
私は、それに対して
「眼鏡は珍しくなくて、タブレットは珍しいから」
だと思っています。
きっと子供は視力が良いと信じられていた古のころには、子供が眼鏡をかけることにも一言お伺いが必要で、ただただ眼鏡をかけてみたい周囲の子から羨ましがられることもあったのではないでしょうか(空想です)
少なくとも周囲から
「お前子供なのに何で眼鏡かけてんの?」
「目が悪くて」
「子供なのに!?」のような会話があったのでは…?(妄想です。)
あと30年経ってもタブレットを使うのに大々的なカミングアウトが必要だったらそれは問題ですが、現時点では、まだ物珍しいので、特に小学校は仕方がないかなぁというのが個人的な印象です。
「コースケ君に必要だと思われる配慮を『ずるい』という子がクラスにいる以上、彼らを納得させるために理由を説明する必要があります。
学級にコースケ君の事情を話してもいいでしょうか?クラスが納得していない状態では配慮はただの特別扱いになってしまう。
コースケ君は何もずるくない。人はそれぞれ抱える背景が違う、『平等の意味』から説明します。周知したあとは『ずるい』なんて絶対に言わせません。私に任せてもらえないでしょうか?」